葛西説教20240728
1.テキスト「士師記6章11~40節」
2.タイトル「ギデオン」
3.中心聖句「士師記6章14節」
「あなたのその力で行き、イスラエルをミデヤン人の手から救え。」
4.本文「ギデオン」
序)「なぜ、神は弱い者を選ばれる?」
(ヨエル書3章10節)『あなたがたの鋤を剣に、あなたがたのかまを槍に、打ち直せ。弱い者に「私は勇士だ」と言わせよ』とあるように。
神は、ご自身の戦いのために、どんな弱い者をもお用いになることができます。彼が、主に信頼し、主に従う者であるならば、できます。ギデオンは、まさにそういう人物でした。信仰が勇士を生み出すことについては、ヘブル書11章32から34節にも記されています。ミデヤン人の手がイスラエルを圧迫し、苦しめる中、彼は、ミデヤン人の目を避けて、酒ぶねで麦を打つような小心者です。しかし、神は、彼に、(士師記6章12節)「勇士よ」と語りかけ、彼をイスラエル救済のリーダーとしてお召しになられます。ギデオンは、自分の無力を承知の上で、主が共にいて彼に勝利を与えるとのみことばに立って、その召しを引き受け、与えられた使命を見事に果たしていきます。
神は、現代も、教会の中に、神のために勇気をもって戦うギデオンを求めておられます。
本論)「ギデオン」
Ⅰ.「自分の弱さを知る」
ミデヤン人は、ヨルダン川の東からモアブの野にまで広く住んでいて、しばしばカナンの地に侵略して収穫物を略奪していました。ギデオンは、彼らに見つからないように、石灰岩をくり抜いて作った酒ぶねの中で、収穫した麦束を打ち、殻と実を分けていました。このことから、ギデオンは最初から勇敢な人ではなく、むしろ臆病だったことがわかります。しかし主の使いは、そんな彼に(士師記6章12節)「勇士よ。主があなたといっしょにおられる」と声を掛けられ、また(士師記6章14節)「イスラエルをミデヤン人の手から救え」と命じられました。しかし彼は、自分は弱い者だからそんなことはできない、と断ろうとしました。
神は、自分の弱さを認める者を用いられます。モーセも、イザヤも、エレミヤもそうでした。主の使いが(士師記6章12節)「勇士よ」と言ったのは、イエスがシモンをペテロ(岩)と呼ばれたのと同じような意味があるのではないでしょうか(ヨハネ1章42節)。
Ⅱ.「神の強さを知る」
ギデオンが、(士師記6章17節)「私と話しておられるのがあなたであるというしるしを、私に見せてください」と願ったのは、神を疑ったのではなく、自分を疑ったのです。神の臨在、神の召命がギデオンという無力な弱虫にあるという保証が欲しかったのです。彼が貧しい中からやりくりして用意したごちそうは、主の使いの杖によって、焼き尽くされました。彼はこのしるしから、このことが主から出たことであると知りました。ミデヤン人と戦う直前にも、ギデオンは、羊の毛の上にだけ霜が降ったり、降らなかったりするよう、主に願いました。神が、(士師記6章36節)「私(ギデオン)の手でイスラエルを救おうとされる」ことを、確かめようとしたのです。彼は、主の力によらなければ、決して勝てないことを知っていました。ですから、その戦いが自分の勝手な欲望や妄想であってはならないのです。本当にそのことが神から出たことかどうかを確かめることは不信仰ではありません。私たちも、神の御心を慎重に聞いてから、行動すべきです。
Ⅲ.「神のことばに従う」
イスラエルの民は、ミデヤン人から救い出される前に、まず聖別されねばなりませんでした。それはまずギデオンの身近な所から始まりました。彼は父親のもっていたアシェラ像を切り倒し、またバアルの祭壇も打ち壊しました。相当の勇気が必要だったと思われますが、彼は神のことばに忠実に従いました。これは神から出たことだとの確信があったからでした。そして町の人々がこのことを知り怒りますが、父親は彼の味方になりました。あの臆病な息子が大きく変わったことに気づいたからに違いありません。
ミデヤン人との戦いにおいても、彼は神のことばに100%従いました。敵のミデヤン人たちは13万5千人であるのに(士師記8章10節)、ギデオン側は3万2千人。しかし主は(士師記7章2節)「あなたといっしょにいる民は多すぎる」と仰せられました。そして1万人に、ついには3百人にまで減らされたのでした。イスラエルの民が、(士師記7章2節)「自分の手で自分を救った」と言わせないために、主はそのように命じられました。
ギデオンは、主のことばに従って、ラッパと空ツボとたいまつで、敵と戦いました。これもエリコの戦いと似ていますね。勝利は武器や馬ではなく、主のことばへの従順によってもたらされるのです。
結論)「ギデオン」
イスラエルの民は、神の命令に背いて、全てのカナン人を打ち滅ぼすことをしませんでした。そして神も、カナン人を強制排除されることもありませんでした。それは、神はイスラエルが(士師記2章22節)「彼らもそれを守って歩むかどうか、これらの国民によってイスラエルを試みるため」だからです。神は私たちに対してもギデオンのように、勇士と用いてくださるのです。まず、「自分の弱さを知る」こと。そして「神の強さを知る」こと。そして神のことばに忠実に従うことによって敵に勝利し、きよくされていくように導いていただきましょう。
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