葛西説教20241103①
1.テキスト「創世記6章1~22節」
2.タイトル「全き人ノア」
3.中心聖句「創世記6章9節」
「ノアは神とともに歩んだ。」
4.本文「全き人ノア」
序)「背景」
地球は神が意図したような完璧な楽園ではなくなりました。人間がこんなにも速く神を忘れてしまうのは、恐ろしいことですね。信じられないことですが、全世界の中でただ一人ノアとその家族だけが神を礼拝していました。その誠実さと従順のゆえに、神はノアとその家族を、全人類を滅ぼす大洪水から守られました。ここには、神がいかに罪を憎み、罪を楽しむ者たちを罰せられるかが示されています。
本論)「全き人ノア」
Ⅰ.「さばきの告知」
2節の「神の子たち」の解釈は難解なところです。堕落したみ使い、天使と考える人もいますが、聖書(マタイ22:30、マルコ12:25)にはみ使いは結婚もせず、子を産むこともないと記されているので、それはあり得そうもないでしょう。ですから、神を信じて生きていた人々のことであろうと考えられています。具体的にはセツの子孫たちがカインの悪い子孫と結婚したと考えられています。それは信仰のある者の良い影響が弱まり、世界の道徳的腐敗が進み、悪の増大を生み出しました。そして生まれた者は(4節)「ネフィリム」と言われました。彼らは(同)「昔の勇士であり、名のある者たちであった」のですが、(5節)「その心に計ることがみな、いつも悪いことだけ」であって、神の創造の目的から外れていました。そこで、(6節)「主は、地上に人を造ったことを悔やみ、心を痛め」、被造物を(7節)「地の面から消し去ろう」とさばきの決断をされました。神のさばきは、怒りのゆえではなく、痛みのゆえであることを忘れてはなりません。
確かに当時は、(12節)「神が地をご覧になると、実に、それは、堕落していた。すべての肉なるものが、地上でその道を乱していたから」でした。本来は、互いに愛し合い、助け合って生きていくべきなのに、実際は(11節)「地は、暴虐で満ちて」いました。それで神はもう一度やり直そうとされました。その時神が目を留められたのが、(9節)「神とともに歩んだ」ノアでした。神は(7節)「わたしが創造した人を地の面から消し去ろう」と決心しましたが、ノアは全き人だと認めて、これらかしようとすることを彼に告げられたのでした。
Ⅱ.「救いの告知」
神は、洪水によって地をさばかれることをノアに知らせ、洪水から救われるために、(14節)「ゴフェルの木の箱舟を造りなさい。箱舟に部屋を作り、内と外とを木のやにで塗りなさい」と告げられました。箱舟の大きさも告げられました。1キュビトを45㎝とすると、長さ140m、幅23m、高さ14mほどで、3階建ての総面積は約1万㎡にもなります。ですから、アメリカンフットボールのコート一つ半の長さで、4階建てのビルほどの高さがありました。この箱舟の長さと幅の比率は、現代の造船技術にもかなっていました。そして大きな箱舟に、ノアだけでなく、彼の妻も三人の息子夫婦も入るように神は命じられました。神は(19節)「またすべての生き物、すべての肉なるものの中から、それぞれ二匹ずつ箱舟に連れて入り、あなたといっしょに生き残るようにしなさい」と命じられました。神とともに歩んだノアのゆえに、彼の家族も、また全ての生き物も救われる道が告げられたのでした。
ノアとは、「慰め」という意味です。父レメクは(5:29)「主がこの地をのろわれたゆえに、私たちは働き、この手で苦労しているが、この私たちに、この子は慰めを与えてくれるであろう」との願いで名付けられました。確かに彼はそのような人物でした。神は、神に背いて悪を行う者たちをさばかれます。しかし、神とともに歩む者については、その人だけではなく、その人を通して、さらに多くのものを救ってくださるのです。
Ⅲ.「契約の告知」
神が(18節)「わたしは、あなたと契約を結ぼう」と告げられたことにも注意しましょう。これが、「契約」ということばが聖書の中に出てくる最初の例です。この契約の内容は創世記9章で示されますが、ここで強調されているのは、神のみことばに従うことです。もしノアがみことばに従わなければ、神の救いの計画は実現しません。神との契約は、人がそれに従うことによって初めて成り立つのです。
ノアが(9節)「正しい人であって、その時代にあっても、全き人であった」と記されているのは、地上に悪人がはびこっていた時代においても、神のみことばを聞き、また、(22節)「すべて神が命じられたとおりにし、そのように行った」からに他なりません。現代でも全く同じ原則が当てはまります。大切なのは、神のみことばを聞き、それに従うことです。多くの人々が自分の好きなように生きているとしても、彼らと同じように生きてはならないのです。
勧め)「全き人ノア」
本日は旧約聖書から「全き人ノア」というタイトルでお語りさせていただきました。皆さまはこの神からのメッセージをどのようにお聞きになられましたでしょうか。また、どのように感じ、また考えて、祈りにつなげられたでしょうか。
ノアの時代には、聖書はありませんでした。彼は、ただ良心に響く神の声に従ったのでした。今は、神のみこころを明確に示す聖書があり、それを説く教会もあります。どうか、謙遜に聖書に聞き従う者となりましょう。
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