葛西説教20250105
1.テキスト「エズラ記1:1~11」
2.タイトル「みことばの成就」
3.中心聖句「エズラ記1:3」
4.本文「みことばの成就」
序)「はじめに」
エレミヤが預言したとおり、最初の捕囚から70年後の紀元前538年、捕囚されていた人々は母国に帰還できるようになりました。しかもそれは、異邦人であるクロス王の勅命によって実現しました。これは神のみわざとしか言いようがありません。そこでこの出来事が起こってから1世紀近く経過した時に登場した祭司エズラは、この奇跡的な歴史を後世に伝えるためにエズラ記を記しました。神のみことばは必ず成就することが、エズラ記を学ぶならば容易に理解できるでしょう。
本論)「みことばの成就」
Ⅰ.「異邦人の王によって」
神は(1節)「エレミヤにより告げられた主のことばを実現するために、主はペルシヤの王クロスの霊を奮い立たせた」という一文は、聖書の神は、異邦人の王の心さえも動かされるお方であることを明確に示しています。クロス王は、バビロン帝国を攻撃し、滅亡させました。不思議なことにエレミヤよりも前に登場したイザヤは、彼の名を主から示され、(イザ 44:28)「わたしはクロスに向かっては、『わたしの牧者、わたしの望む事をみな成し遂げる』と」預言されています。これはクロスが登場する150年以上も前に書かれています。ここで注目すべきことは、150年という時間だけではなく、神はユダヤ人だけではなく、異邦人の神でもあり、全世界の歴史を支配しておられるということです。クロス自身も、神が自分を用いておられると認め(2節)「天の神、主は、地のすべての王国を私に賜った」と告白しています。
現在の世界も、主なる神の御手の中にあります。日本の首相も、アメリカやロシアの大統領も、神はご自身の目的のために用いられます。このことが分るなら、私たちは世界の動きに一喜一憂することなく、神の最善を期待することができるでしょう。
Ⅱ.「主の宮の復興によって」
クロス王は、先のことばに続いて、(2節)「この方はユダにあるエルサレムに、ご自分のために宮を建てることを私にゆだねられた」と宣言します。イスラエルの人々が故国に帰るのは、主を礼拝するための宮を再建するためにほかならないのです。故国への帰還は、たんに捕囚の身から自由になるためだけではなく、人々が神に祈り、神を尋ね求め、神に会い続けるためです。すなわち救いとは、神を礼拝する人になることです。先に引用したイザヤ預言にも(イザヤ44:28)「エルサレムに向かっては、『再建される。神殿は、その基が据えられる』と言う」と告げられていました。
現代に最も必要なことは、本当の神を神として認めることです。多くの現代人は「神はいない」と言います。傲慢にも、人間の力ですべて解決できると考えています。しかし、環境汚染、地球温暖化、異常気象、地震、戦争、人口問題、どれ一つを取ってみても、本当に人間の力で解決できるでしょうか?さらに、人々の心に広がる虚無感や、愛が冷え、みな利己的に生きている現状に本当の解決はあるのでしょうか?今こそ、この世界に(3節)「主の宮」、(Ⅰコリント6:19)「聖霊の宮」を復興しなくてはなりません。真の神を認め、利己的に生きている自分の罪を悔い改め、神のことばに謙遜に従うことこそ、今求められていることです。
Ⅲ.「人々の従順によって」
クロス王はさらに、(3節)「すべて主の民に属する者はだれでも、その神がその者とともにおられるように。その者はユダにあるエルサレムに上り、…主の宮を建てるようにせよ」と命令します。バビロンからエルサレムまで、直線距離でも千キロあり、4か月もかかります。とても大変な距離ですが、人々が従ってこそみことばは成就するのです。どうしても行けない人に対しては、クロス王は(4節)「残る者はみな、その者を援助するようにせよ。…エルサレムにある神の宮のために進んでささげるささげ物…をもって援助せよ」と命じました。経済的な支援がなければ、(3節)「主の宮」を建てることはできないからです。
その結果、元南ユダ王国のユダとベニヤミン族のみ、4万2千3百6十人が(5節)「神にその霊を奮い立たされた者はみな、エルサレムにある主の宮を建てるために上って行こうと立ち上がった」のでした。また、(6節)「進んでささげるあらゆるささげ物をもって彼らを力づけた」人々も多かったのでした。さらにクロス王自身も、バビロンのネブカデネザル王が70年前に奪い取っていた(7節)「主の宮の用具」を返還しました。
神のみことばは、みことばに従う人々によって、最終的に成就しました。(8節)「ユダの君主シェシュバツァル」(エズラ記2:2のゼルバベル)や、来週お話するネヘミヤもそのような人々でした。(5節)「その霊を奮い立た」せてくださるのは神ですが、それに応答する責任は、私たち一人ひとりにあることを忘れてはならないのです。残念ながら、北イスラエルの部族は捕囚帰還には不参加だったと言われています。ですから、神に、私たちが神のみ心に従う志を与えてくださるように祈りましょう。なぜなら、(ピリピ2:13)「神は、みこころのままに、あなたがたのうちに働いて志を立てさせ、事を行わせてくださる」からです。
勧め)「みことばの成就」
皆様、本日の聖書のお話をどのように聞かれたでしょうか?どのように感じられ、どのように考え、どのような思いが与えられたでしょうか?どうか、お一人おひとりが(エペソ6:18、ユダ1:20)「聖霊(御霊)によって祈り」をお献げください。
神のみことばは必ず成就します。神は権力者さえご自分の道具のように用いて、奇跡的なわざをなしてくださいますが、最も用いたいと願っておられるのは、私たちクリスチャンなのです。(5節)「神にその霊を奮い立たされた」とき、それにノーと言ってはいけません。それに従うときこそ、希望は現実に変わるのです。
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