葛西説教20231008

1．テキスト「ヨエル2章25～32節」

2．タイトル「聖霊による勝利」

3．中心聖句「ヨエル2章28節」

「その後、わたしは、わたしの霊をすべての人に注ぐ。」

4．本文「聖霊による勝利」

　序)「なぜ、聖霊は必要なのか」

　イエスの弟子たちが聖霊降臨を10日間祈り待ち続けました。聖霊降臨は「終わりの日」の始まりとなりました(使徒の働き2:17)。ではなぜ、聖霊は必要なのでしょうか。

　ある神学者は言います。「罪を悔い改めたら赦されるというところにとどまるならば、同じ罪を繰り返すことになる。しかし罪の力に打ち勝ち、キリストのかたちに似せられ、御旨のうちを歩むためには神の霊に全く支配されることが必要である」と。そのように人がきよめられ、造り変えられるために神の霊の注ぎが約束されているのです。

本論)「聖霊による勝利」

Ⅰ．「主の日が近い」

　ヨエル書は「ペトエルの子ヨエルにあった主のことば」を書き記しているので、この名で呼ばれています(1:1)。「ヨエル」とは「主(ヤハウェ)」は神である」という意味です。本書の著作年代には諸説あります。ヨエル書には、長老と祭司がいて、神殿の祭儀が行われているものの、王について記されていません。また北王国についても記されていません。それ故、ヨエルが預言者として活動したのは、捕囚からの帰還した人々が第二神殿を完成させた紀元前515年より後の時代と思われます。

　その頃、「いなご」の大群がユダを襲いました(1:4)。それは他国の「軍隊」のようにユダの地を激しく攻撃しました。この災害は「主の日」が近いことの警告であると、ヨエルは預言しました。その日は恐るべき日であると言って、ヨエルは人々に悔い改めを迫りました。

Ⅱ．「悔い改めの祝福」

　ヨエルの呼びかけは人々の心からの悔い改めとなりました。祭司たちは悔い改めて断食し、荒布をまとってなげき悲しみました。長老たちや人々は集められて、祭司たちのように悔い改め、主に向かって心の底から叫び、主のあわれみを求めました。

　「主はご自分の地をねたむほど愛し、ご自分の民をあわれまれた。主は民に答えて仰せられた。『今、わたしは穀物と新しいぶどう酒と油とをあなたがたに送る。あなたがたは、それで満足する。わたしは、二度とあなたがたを、諸国の民の間で、そしりとしない』」(2:18.19)。主はユダの人々に豊かな回復の恵みをお与えになったのです。

しかし、これで、将来における「主の大いなる恐るべき日」が取り除かれたわけではありません。その日は必ず来るのです。その時、主は「万国の民」をさばかれ、彼らの犯した罪に対して報復されるのです。

ユダの人々が経験した災いと回復は、将来、全世界の人々に起こる出来事への警告でした。すなわち、主が預言者を通して語られた警告の声に耳を傾けて、真実の悔い改めをする者はすべて、回復の恵みが与えられます。クリスチャンは主のさばきの日にも救われて、大いなる祝福に必ずあずかるのです。

　それゆえ「ペトエルのヨエルにあった主のことば」は「これを聞け」、「耳を貸せ」、「これをあなたがたの子どもたちに伝え」という警告のことばでした(1:1～3)。

Ⅲ．「聖霊による勝利」

　主は全世界の人々に向かってこの警告と救いの福音を伝えるために、預言者だけでなく、より多くの人々に真理の御霊を注ぐと言われるのです。

「その後、わたしは、わたしの霊をすべての人に注ぐ。あなたがたの息子や娘は預言し、年寄りは夢を見、若い男は幻を見る。その日、わたしは、しもべにも、はしためにも、わたしの霊を注ぐ」(ヨエル2:28.29)。

　この預言は、あのペンテコステの日に成就しました(使徒の働き2:17.18)。その時、「無学な、普通の人」(同4:13)であるイエスの弟子たちが、「聖霊に満たされ、御霊が話させてくださるとおりに、他国のことばで話しだした」のです(同2:4)。それを見た人々の中には、彼らは酔っぱらっているとあざ笑う人もいました。しかし、そうではなく、これはヨエルの預言の成就だったのです。

まとめ)「聖霊による勝利」

　私たちクリスチャンのうちには真理の御霊が宿っておられます(ヨハネ14:17)。御霊が私たちに語るべきことばを教えてくださるのです(ルカ12:12)。「主の日」は近づいています。その大いなるさばきの日に、「主の御名を呼び求める者は、だれでも救われる」(ローマ10:13)のです。「しかし、信じたことのない方を、どうして呼び求めることができるでしょう。聞いたことのない方を、どうして信じることができるでしょう。宣べ伝える人がなくて、どうして聞くことができるでしょう」(ローマ10:14)。私たちの周りには滅びゆく人々がいるのです。どうか、恐れたり、頑なにならず、聖霊の言われるとおりに伝道しましょう。

　また、そのように人がきよめられ、造り変えられるために神の霊の注ぎが約束されているのです。皆様は信じますか。いや、どうか、信じていただきたい。聖霊による勝利です。